May
10
犬吠える朝
散歩をした。
無性にぼぅと何処かへ歩きたくなるときがある。でも体力が、というか堪え性が無いので遠くまで行けない。
その日は自分の卒業した中学まで歩いた。なにぶん田舎なのと、朝が早かったので誰もいない。
実際目的地があったわけではないので適当に歩き出す。歩くときは大体、自分の靴か他人の靴を見ているので他に人がいない以上、自分の靴を見つめる ことになる。お気に入りのナイキのワッフルレーサーを履いていたのでいつも以上に自分の靴を凝視する。
『あは、やっぱええなぁ』
青いスニーカを見つめながら歩いていると部活の試合に行くのか野球部っぽい格好をした高校生が華麗に僕を避けたので心の中で『なんでやねん』と 言った。
そんなことをしている間に中学校まで着いてしまった。
『え?こんな近かったか?』と思った。
登校の道のりは自分の中で、もっと長大なものだったような気がする。なんなら学校へ行く道が遠いから、という理由で学校へ行きたくないぐらいだっ た。
堪え性が無いので来た道を引き返しながら、『あぁ僕は単純に学校へ行きたくなかったんだな』と気づいた。
あまりにも学校へ行きたくなかったのでこの10分や15分かそこらの道が自分の中でまるで万里の長城を往復するくらいの一大事業に成り代わってい たのだ。
まったく、アホである。
中学時代の自分を思いながら帰り道を歩いていると、何故かさっきのルックスライク野球部員とすれ違った。さっきより若干焦って自転車を漕いでい た。
心の中でもう一度『なんでやねん』と言ってやった。